『化物語』第5話感想

 めでたしめでたしの第5話。さて、原作を書いた西尾維新の話。彼のような小説を書く連中というのは、素人文芸の世界にはそれこそごまんとおります(パッケージングされて本屋に並んでいる商品としての「小説」群にあってこそ、ライトノベル携帯小説は異端なのかもしれませんが、有象無象の蠢く、文学の中の「呪われた部分」も視野に入れるとするならば、むしろ今はそちらのほうが主流なのではないかとさえ思えます)。では、西尾維新がその「ごまん」から抜け出して、あれだけのセールスを記録しているのは何故か。それはひとえに彼の書く世界の強度にあると私は考えております。一読すれば判る通り、彼の文章はラメチャンタラギッチョンチョンデパイノパイノパイな代物で、それによって綴られる内容も同様の程度であるのですが、それらと相反するように作品全体はしっかりしているのです。まあ印象論だがねこれは。有象無象の書き散らかした作品を「ボロ小屋」だとするなら、西尾維新のそれは「ボロ小屋そっくりの頑丈な建造物」と言えましょう。有象無象にあっては、「ライトノベル」というのは、劣等或いは低俗なブンガクに貼られるレッテルなわけですが、西尾維新上遠野浩平、そして奈須きのこにあっては唯一無二の到達点なわけで、彼ら三人の作品の相似は(互いに与えた影響というものを抜きにして)必然であるように思われます。