ストーリーメイク5月8日版

今回は以下の条件で作成した。

主人公過去:至誠
主人公現在:庇護
主人公未来:慈愛の逆
結末目的:治癒
援助者:解放
敵対者:清楚
キーワード:仲介者


正田:「えんぴつの約束」

○登場人物
本庄伸也(ほんじょうしんや):毛呂山第三中学校の生徒。本庄製作所の息子。
海老名哲夫(えびなてつお):父が銀行支店長だからそれなりに金のある家の子で、通っていた私立中学校がつぶれて、別の私立へ通うことができるようになるまでの間自宅に近い毛呂山第三中学校へ通う。
哲夫の父:彩花(さいか)銀行毛呂山支店長。
三郷真理子(みさとまりこ):伸也の惚れた同じクラスのかわいこちゃん。
栗橋:伸也と同じクラス。町工場従業員の息子。
上里:伸也と同じクラス。町工場従業員の息子。
狭山:伸也のクラス担任。
横瀬:伸也と同じクラスだったがある日突然登校してこなくなった。横瀬鉄工所の息子。


○あらすじ
 彩原(さいはら)市は大都市で、その東隣に毛呂山(もろやま)という都市がある。この都市は町工場がひしめいているのだが国の経済はどん底で都市全体がつぶれつつあった。
 伸也は勉強や運動で秀でているものはないが気に入られたいために明るく振る舞い男子であればだれとも普通に遊んだ。女子相手だと中学特有の距離の置き方したがクラスで一番かわいい三郷真理子のことをなんとなく気にしていた。
 伸也のクラスの授業、狭山先生が進めていくのだが哲夫は授業とは違う勉強をひたすらやっていた。狭山は「今は数学だぞ」と声をかけるが「その単元はもう終わってますから」と言って授業を無視した。栗橋が「あいつ、彩花銀行の子供らしいぞ」と上里に小声で話しかけて狭山に怒られた。クラスの大半が町工場関係者の家族を持っていて、彩花銀行に借金をしていない町工場がないくらいで、貸し渋り貸しはがしがかなり多くなってきて、銀行に対する怒りがいたるところで聞かれるようになっていたところへ哲夫が転校してきたのは半年前のことだった。哲夫がだれとも遊んだりしないためどこのどいつなのかうわさが立っていたが、彩花銀行毛呂山支店長の息子だった。クラスのほとんどが内心で哲夫に生活苦の恨みを抱いた。
 哲夫は父からもらった太宰府天満宮のえんぴつを使って勉強をした。頭はだいぶよくて私立の中学校にいたがその学校がつぶれてしかたなく伸也たちの学校に来て、別の私立へ転入することを目指して熱心に勉強していた。父が太宰府天満宮は勉強の神様だからここのえんぴつを使って必死に勉強したら必ず新しい私立へ行けるよと言って、その言葉を信じて彼はがんばった。
 伸也と同じクラスの横瀬が突然来なくなって狭山も横瀬家に連絡がつかないから心配していた。伸也が栗橋や上里と横瀬家へ行ってみると横瀬父が経営していた工場が張り紙だらけ、割られた窓ガラス、ひどい状態だった。彼らの町の厳しい現実がそこにはあった。
 翌日、給食中栗橋と上里は哲夫の給食にこっそりと毒を混入した。上里のほうが「やべえよ」とビビッて栗橋は「わかったわかった、だったら量をできるだけ減らそう」とかなり少量にした。給食の次の授業は狭山が用事あって自習となった。伸也も栗橋も上里もその他もわあわあ騒いでいた。そんな中、彼らの視線は黙々と勉強している哲夫に向いていた。栗橋と上里はほかの生徒とはちがう視線だった。そのとき哲夫は急に立ち上がり教室の外へ出ていこうとしたがうずくまって吐いた。そのあとふらふらしながらトイレへ向かった。
 上里は哲夫に天罰を与えることに成功したと悦に入って調子に乗り、哲夫の机にあるえんぴつを盗んだ。栗橋と伸也は女子に「だれかそうじしてよ」と言われて2人の間でそうじを押しつけあったが結局伸也がそうじすることになった。ぞうきんを使ってやり始めたのだが足を滑らせて顔をゲロに突っ込んでしまった。皆が伸也から離れ、栗橋は「うわあ」と言い、真理子も「やだー」と言った。彼は涙目でトイレへ逃げた。
 伸也はトイレで哲夫と会った。哲夫は汚れている伸也に事情を悟ったように同情してきて伸也は「おまえのせいだ。近づくな。話しかけるな」と怒った。
 二人ともその日は教室へ戻らなかった。哲夫は毒が少量で給食を吐く以外に体調の悪化はなかった。狭山は二人を帰宅させた。翌日、伸也は皆から避けられてしまった。哲夫は大切だったえんぴつを隠されていることに気づきかなり焦った。そこで放課後に伸也に助けを求めた。伸也は哲夫に冷たい態度をとったが「探すのを協力してくれたらお父さんに借金チャラにするよう頼んであげる」と言った。哲夫は本庄伸也が本庄製作所の息子だと知っていたのだ。伸也はそれを聞いて悩んだがクラスメイトを裏切って哲夫側に付こうと決意した。
 伸也は上里がえんぴつを隠したことに気づいていなかったが、教室中を必死で探して上里の机からえんぴつを見つけた。忘れ物を取りにきた栗橋と彼についてきた上里と出くわしてけんかになった。栗橋の「何をやってるんだ」という問いに伸也は答えなかった。二人は伸也を殴ったりしたのだが、伸也は何も話さず栗橋は「わかった、殴って悪かった。上里、えんぴつ返してやれよ」と言って上里も「ああ、伸也ならいい。僕が悪いんだから持っていけよ」と二人は根負けして伸也を見逃した。哲夫はかなり喜んで、その日の夜に家で父に頼んだのだが支店長の勝手で借金チャラにできるわけもなかった。
 哲夫は、だめだったことを伸也に話した。伸也はうなだれたものの借金がこの程度でなくなるわけもないと思って謝る哲夫を許した。伸也は教室で栗橋や上里と打ち解けることもなく1人で過ごすようになった。三日後、転入試験に合格した哲夫は学校を出ていった。


浅羽:「捨て猫拾い」

 名家の一人息子として厳しく躾けられたために、親や教師には絶対服従している少年。ある時、道端に捨てられていた仔猫を拾う。綺麗好きの少年の母はしかし、栄養状態が不良でみすぼらしい猫を見て、そんなものはとても飼えない、捨ててこいと命令する。これまでは母の言うことに従ってきた少年だが、その時ばかりは、自分が猫を拾った責任があるからと、両親に隠れて自分の部屋に猫を匿いながら、飼い主になってくれるひとはいないかとクラスのみんなに尋ねて回る。しかし誰も首を縦に振ってはくれない。失意の少年が家に帰ると、母に猫の存在がバレている。捨ててくるように命じる母。少年は、泣く泣く、元の場所に捨ててくる。毎日餌をもって様子を見にくるからね、と誓う少年。家に帰った少年は母親に「ママ、だいっきらい!」と叫んで自分の部屋にこもってしまう。翌日は土砂降りの雨。猫は大丈夫だろうか――心労から風邪をひいてしまった少年だが、病気をおして猫を迎えにいく。と、捨てたはずの場所には「猫ちゃんは拾いました。私が責任をもって飼います」と書かれた紙が。よかった……。安心した主人公は家に帰り、薬を飲んで眠りにつく。
 その様子を見て、ほっと溜息をつく母。実は昨日、息子に「だいっきらい!」と言われて自分のおしつけがましさと生命軽視を反省した彼女は、少年が捨てた猫を拾いに行ったのだった。しかし彼女が到着した時には、心ない誰かによって、猫はいじめ殺されてしまっていた。保健所に連絡をした彼女は、せめて息子が悲しまないようにと「猫ちゃんは拾いました。〜」の紙をそこに置いたのだった。