ストーリーメイク3月28日版

今回は以下の条件で作ってみました。

主人公(過去):幸運の逆
主人公(現在):変化の逆
主人公(未来):秩序
結末・目的:厳格の逆
援助者:治癒の逆
敵対者:意思
キーワード:人形


正田:「冷たい体」

○登場人物
相沢浩二:高校2年生。勉強できないし美術も音楽も体育もあまりいいところがない。
四宮美紀:相沢が想いを寄せる同じクラスの女子生徒。
諏訪陶冶:相沢と同じクラスの男子生徒。父親が県議会議員で県内の各方面に大きな影響力を持つ。本人は勉強ができるものの性格がDQN
宇野:サイボーグ技術を開発中。


○あらすじ
 近未来。
「今度は30点か、学校来る意味あんのかよ、就職先は自宅警備で決まりだな」諏訪が大口を開けて相沢のテスト用紙をつかんでひらひらさせた。相沢はやめろと諏訪に突っかかるが、諏訪の取り巻きが相沢を羽交い絞めにした。こんなことがほぼ毎日続いた。
 同じクラスの四宮美紀のことが好きだったが、四宮の前で恥ずかしい目に遭わされて悔しさは募る一方だった。
 ある日、諏訪たちは暇つぶしのつもりで相沢を歩道橋でからかった。下を流れるのは幹線国道で、車の速度も高い。「おまえ、四宮のことが好きなんだろ。バレてんだ。いっつも四宮のほうばっかり見てるからな」怒りのあまり相沢が諏訪に突進したが、勢い余って手すりを越えそうになった。諏訪たちはふざけていて相沢が落ちたらどうなるか思いもよらず、彼の尻を蹴った。
 相沢は道路へ落ちた。運悪く車が速度を落とすことなく彼を轢いた。轢いたのは宇野という研究者だった。救急車や警察がすぐに到着し、相沢は病院へ運ばれた。警察の聴取を終えた宇野は罪滅ぼしとして相沢を自分の技術で治そうとした。「君の人生はまだ終わっていない」とすべての技術を注ぎ込んだ。意識不明重体だったが、相沢は破裂した内臓や粉砕された骨をほとんど代わりのものに置き換えられて生きながらえた。
 相沢は高校に復帰したが、以前とは体がいびつとなり、誰もが避けた。彼を突き落とした諏訪たちは皆学校にいた。なぜなら諏訪が議員の息子だったであり、相沢が1人で勝手に落ちたことになっていた。相沢がこんな姿になっても諏訪たちのいじめは止まなかった。腕力の調節に不備があり、力の制御がうまくいかない相沢は諏訪たちに反撃してけがをあせた。暴力はなくなったが「キモい人形」「動く人形」などと辛辣な言葉を投げかけられるようになった。せめて四宮にだけは避けられたくないと、彼女の顔色をうかがったが、彼女はおびえるように相沢から視線をそらした。
 学校には行きたくなかったが、マスコミが相沢を追うようになり、学校は彼が休校しないようにするため担任や親が送り迎えをさせた。諏訪の親の思惑も働いているようだった。諏訪たちのいじめは収まりつつあったが、ある日体育の時間、さぼって校舎裏でいると偶然、彼は諏訪と四宮が二人だけでいるところを目撃してしまった。明らかに二人は付き合っている。
 茫然自失となったまま彼は帰宅した。その日は宇野が彼の体を調整する日だった。宇野は相沢の体を確認した。「俺なんか生きててもしょうがないんだ」「人間、人生は長いんだ。生きていればきっと何かいいことがある。がんばるんだ」宇野のその言葉がうっ屈していた彼を爆発させた。宇野の首を絞めて「どうして俺を生き返らせたんだ」と叫んだ。しばらくすると宇野はぐったりした。
 もうどうにでもなれ、その前に四宮も諏訪も道連れだ。その夜、二人いっしょにいたところを殺害し、自らの命も絶った。

浅羽:「ハート・アンダーワールド

○登場人物
ジム・ボブ・スウェード:年老いた農夫。寡黙で頑固。
ノーラ・スウェード:ジムの妻。美人。
ラグ・カミングス:ノーラの弟。自動車修理工。ジム・ボブの唯一の友達。
ジェイソン・スウェード:ジムとノーラの息子。弁護士。
スターク・ホーソン:連続暴行殺人犯。
リトル・デイヴ:ジムがノーラの遺品で作った人形。


○ストーリー
 1977年。アメリカ。深南部。人里からかなり離れた土地で農園をやっているスウェード夫妻。元々は人里離れた土地ではなかったのだが、みんな引越してしまった。ある日、二人の元を訪れる青年スターク――ベトナムからの帰還兵だと自己紹介をする。「働く場所を探しているんです。雇ってくれませんか。命じられたことは何でもします。特に機械いじりは任せてください」性格も明るく、口調もはっきりしていて、二枚目。好印象。しかしジム・ボブは、人手は欲しいがお前のような若造なんぞお呼びじゃないと渋る。だが、ノーラは、息子のジェイソンも大学に行ってしまって部屋もひとつ余っていることだし、別にいいじゃないと言う。しばらく考えたジム・ボブは、最近家の裏手にある発電機の修理の調子が悪いから修理できたらお前を働かせてやろうと条件を出す。それを見事修理してみせたスターク。スウェード農場で働きはじめる。効率的な作業方法を提案したりもして、実に見事な仕事っぷり。スタークを信頼するようになるスウェード夫妻。第二の息子のような感じ。

 そしてスタークを雇ってから三ヶ月が経った頃、ある夕方、ジム・ボブはノーラの弟ラグと飲むために街に行く。見あげれば怪しい雲行き。雑貨屋にて不足していた品物を買い揃え、おんぼろのトラックに乗ったところで土砂降りになる。エンジンをかけようとするが、かからない。とうとう故障したのか。舌打ちをするジム・ボブ。家に電話をかけ、ノーラに事情を説明。車を修理に出して今夜はラグのところに泊まり、明日帰ることを伝える。ノーラの後ろで話を聞き、自分の車で迎えに行こうかと申し出るスターク。それを断るジム・ボブ。「……いや、いいよ。もう遅いからな」

 ノーラの弟、ラグがやっている自動車修理工場に連絡して車を引取りにきてもらうジム・ボブ。それから骨までずぶ濡れになりながらラグと一緒に酒場に。しばらく世間話。やがて話がスタークのことに及ぶと、ジム・ボブは沈鬱な面持ちで、ノーラとスタークがデキているのではないか、自分の目を盗んで情事に耽っているのではないかと疑っていると告げる。「実は、今日はこのことを話すために来たんだ。ノーラのことも、スタークのことも、私は信頼している。それでも疑ってしまうんだ。もしかしたら今この瞬間にも――」大丈夫、思い過ごしさ、と笑うラグ。「姉貴はあんたのことを愛してるって」「ああ。もちろん、私もそう信じてるよ」しかし、その顔は暗い。ラグの家に泊まるジム・ボブ。夜中にふいの胸騒ぎ。電話を借りて家にかけてみるが、出ない。寝てるだけさ、と自分に言い聞かせるが、どうにも落ち着かない。寝ていたラグを起こし、車を借りて自宅に帰ることに。殴りつけてくる雨。闇を叩き割る雷。地面を揺らす雷鳴。ジム・ボブの胸の中で不安が高まっていく。もしかして――。妻とスタークが一緒のベッドにいるところをどうしても想像してしまう。

 自宅に到着するジム・ボブ。荒れ狂っている嵐。雨風に嬲られている家に入る。寝室の前まで忍び足。すると聞こえるベッドの軋む音、スタークの喘ぎ声。「いい……いいぜ、奥さん……」凍りつく心臓。ドアを蹴破って部屋に入ったジム・ボブが目にしたのは、べっこりと陥没した頭から血と脳漿を垂れ流しながら、ベッドに縛り付けられているノーラと、ノーラに覆いかぶさって腰を振っているスタークの姿であった。傍らに置いていたジム・ボブのショットガンを手にして襲いかかってくるスターク。銃声。ジム・ボブは床に飛び込むようにして銃弾をかわそうとするが、完全にはよけ切れず、左眼球を潰されてしまう。痛みにうめき、丸まるジム・ボブ。余裕たっぷりで近づいてくるスターク。楽しませてやろうと――乱暴してやろうとしたが、抵抗されたので頭を椅子で強制してやった、と話す。ジム・ボブに銃口をつきつけながらにやりと笑う。そして今までとはうって変わった汚い言葉遣いで言う。「おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ!」そこで、素早く動くジム・ボブ。腰に挿していた護身用の拳銃を引き抜き、スタークの顔面を撃ち抜く。倒れるスターク。脳味噌を鉛にかき回され、おかしくなったのか、体をびくびくと痙攣させながら、甲高い声で「おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ!おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ!おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ!おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ!おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ!」と叫びまくる。ありったけの銃弾でスタークを黙らせるジム・ボブ。通報。やがてやってくる警察、そして救急車。血塗れの妻を抱いて号泣しているジム・ボブ。

 警察の話――スタークはアメリカ各州で反抗を繰り返していた連続婦女暴行殺人犯。被害者は七十六歳の老婆から十歳の子供まで。本名はシド・マクルーハン。ジム・ボブの車が故障したのはスタークが細工をしたから。あなたの行いは正当防衛であって、いかなる裁きをも受けることはない。医者の話――ノーラは脳死状態。脳の損傷がひどく意識が戻る可能性はない。この書類にサインすれば、生命維持装置を切ることもできますがどうしますか? それを断る眼帯のジム・ボブ。「サインはしない。妻は敬虔なクリスチャンで、神からもらった命を自ら捨てる自殺は、どんな場合でもいけないことだと言っていた。もう私は妻を裏切りたくない、二度と」

 そして四十年後。現代。ひとり老骨に鞭打って農園をやっているジム・ボブ。あの嵐の夜からますます頑固に偏屈に。まともに話すのは時折ラグと酒を飲む時だけ。ノーラがあんなことになったというのに、大学の友人と反戦集会に出席するため、すぐに返ってこなかった息子のジェイソンとは絶縁状態。心臓の具合も悪く、街の医者からは大きな病院に行って精密検査を受けたほうがいいと勧められている。ある日、農作業から帰ると電話。生命維持装置にトラブルが生じ、ノーラが死んだという報せ。受話器を置くと、目に涙を浮かべながら震える息を吐くジム・ボブ。最初の頃はよかれと思ってやっていたが、最近では本当に骨と皮だけになってしまったノーラを見るのがつらく、本当にこれでよかったのかという迷いさえ感じはじめていた。それからやっと解放されるという思い。

 葬式。その後、自宅でふたりきりになったジェイソンに老人ホームに入るように勧められる。そうしたほうがいいのは百も承知だが、息子への反抗心から、ジム・ボブはそれを老人扱いするんじゃないと断ってしまう。また、生命維持装置の会社を訴えるべきだと主張するジェイソン。喪中にそんなこと話すんじゃないと憤るジム・ボブ。激しい口論。怒って帰っていくジェイソン。静かになる家。聞こえるのは風の音だけ。激しい後悔。孤独を実感するジム・ボブ。ラグのところへ行って、一緒に酒を飲む。もうお互いに髪はほとんどなくなり皺だらけ。しばらく黙って酒を飲む二人。やがて、ラグが今まで姉貴につきあってくれてありがとうと礼を言う。「いいさ」と答えるジム・ボブ。「私にできる償いはこれだけだったんだ」それから、ジム・ボブはジェイソンとの諍いについてラグに意見を求める。他人の人生に――特にあんたの人生に口出しする権利は姉貴の弟であるおれにはないが、それでも言わせてもらえば、あんたはもうすこしひとと、おれ以外の人間とも話すようにしたほうがいい、とアドバイスをするラグ。

 ラグの言葉に従って、ちょくちょく街に行って、酒場などで他人に話しかけてみるジム・ボブ。しかし長年自分の殻に閉じこもっていたので、うまく会話のキャッチボールができない。それでもめげずに他人に話しかける。しかし、ある夜、退役軍人クラブのトイレの個室で大便を垂れていると、爺さん二人組が、「あんな風に熱心に話しかけてきやがって、ジム・ボブってやつはホモに違いない」と嘲笑っているのを聞いてしまう。翌日から、また自宅に閉じこもるようになってしまうジム・ボブ。

 閉じこもりきりのジム・ボブ。体調不良に。それだけではなく精神状態がやや不安定になってきているのが自分でもわかる。それでもなんとか自分をコントロールして日々を送る。ある日、体調も少しはよくなったし、とノーラの遺品の整理をすることにする。ノーラの部屋はほとんど四十年前のまま。ノーラのものは何でも捨てずにとってある。と、寂しさに耐えかねたジム・ボブは彼女の遺品で人形を組み立て、それを話し相手にしようと考える。人形なら、私をホモ呼ばわりしたりはしまい。棒切れを背骨に、アクセサリーを詰めこんだ小袋を内臓に、包み紙を服に、そしてチョコレートの入っていたハート型の箱を心臓に。最後にジェイソンが子供の頃にかぶっていたカウボーイ・ハットをかぶせてできあがりだ。結果として子供くらいの、とても大きな人形ができる。ゴテゴテしていて歪だが、構うものか。彼はその人形をリトル・デイヴと名付ける。食事の時は向かいに座らせ、農作業の時は日陰に置き、夕方になればポーチでデッキチェアに寝そべらせて話しかける。「おい、リトル・デイヴ」「なあ、リトル・デイヴ」癒されていく孤独。「お前が動いたり、喋ったりしてくれればもっと楽しいんだろうがなあ、聞いてるか、リトル・デイヴ?」

 そしてある朝、ジム・ボブの願いが届いたのか、リトル・デイヴが動きはじめる。最初は信じられなかったが、やがてそれが自分の妄想でないことを知り歓喜するジム・ボブ。簡単な農作業を教えたり、一緒にテレビを観たりする。どうせ頭がおかしくなったと思われるのがオチなのでラグにもリトル・デイヴのことは秘密。楽しい楽しい楽しい時間。しかし、しばらくして、飼っていたニワトリが殺されているところを発見してしまう。羽毛と血に塗れたリトル・デイヴ。こんなことをしてはいけないと説教をすると、ジム・ボブを突き飛ばして怪我をさせるリトル・デイヴ。リトル・デイヴは無邪気な動く人形ではなかったのだ。罠をしかけてリトル・デイヴを捕獲するジム・ボブ。家の裏手に深く穴を掘ってリトル・デイヴを埋める。彼の体に土をかけながら泣いてしまうジム・ボブ。翌日から、ふたたび孤独の時間が彼を襲う。ふたたび、不安定になっていく彼の精神状態。

 最近酒の誘いをかけてものってこないジム・ボブを心配するラグ。四十年前のあの夜を思わせる嵐の夜、彼のことが心配になってジム・ボブの家へ。ノック。出てきたのはやつれ果てたジム・ボブ。家の中へ。ノーラの遺品で作った人形が動き出したなどとわけのわからない話をされる。完全にボケてしまっていると思ったラグは、ジェイソンに連絡をとり、ジム・ボブを無理やりにでも老人ホームにいれたほうがいいと判断する。と、そこでふいに消える電気。真っ暗。

 ラグの制止をよそに発電機を見てくると外に出るジム・ボブ。するとリトル・デイヴを埋めたはずの場所から何かが這いずり出てきたような跡があり、発電機がめちゃくちゃに破壊されているのを発見する。懐中電灯をむけてよく見ると、飛び散った部品が「機械いじりは任せてください!」という文字を形作っている。スタークの自己紹介の時の台詞だ。そんなまさか。やつは死んだはずだ。曖昧になりはじめているジム・ボブの精神。四十年前の夜とこの夜がごっちゃになっていく――。くそ、と自分に言い聞かせるジム・ボブ。しっかりしろ! 考えろ! 意識をクリアーに保て! ふたたび家に戻るジム・ボブ。「おい、ラグ! 返事をしろ!」しかし聞こえるのは雨音と雷鳴だけ。ラグの座っていた場所に光をむけると、喉を切り裂かれ息耐えたラグの姿が。息を飲むジム・ボブ。と、横から何者かに飛びかかられ懐中電灯を落として壊してしまう。その何者かがリトル・デイヴ――いや、スタークであることを直感するジム・ボブ。獣の死臭のようなにおいのする息を吐きながら、かつては存在しなかった鋭い爪をジム・ボブの体に食い込ませ、鋭い牙で彼の首筋にかぶりつこうとしてくるスターク。必死に抵抗するジム・ボブ。鋭い爪が残った右目を抉り潰り、腹の血肉をごっそりと抉る。悲鳴。スターク――まさしくあのスタークの声がけたたましく笑い、喚く。「戻ってきた。おれはいま完全にこっちに戻ってきたんだよ、ジム・ボブ。聞こえるかジィィィィム・ボォォォォブ!」もうだめだ。圧倒的な力の前にジム・ボブの体から力が抜けていく。そこで、勝利を確信したらしいスタークが叫ぶ。「おい、ジム・ボブよお! おめえのカカアのおま×こはあったかかったぜ! ほっかほかだ!」その言葉に激しく憤り、力を取りもどしてスタークをはねのけるジム・ボブ。そう、たとえわずかでも命ある限り、生きあがかなければならない。それが自分の償いなのだ。目は見えなくても長年暮らした我が家。洗面所へ走るジム・ボブ。スプレー缶を手にとり、煙草用のライターを使って、追いすがってきたスタークに火をつける。めらめらと燃えるスターク。消滅。やり遂げたという充実感。しかし襲ってくる腹部からの痛みに意識を失ってしまうジム・ボブ。

 そして――温かい湯に使っているような快適な微睡みから目を醒ますジム・ボブ。目が見えるようになっているが、それが不思議には感じられない。背筋が曲がっていないことも、肌に張りがあることも、歯がひとつも欠けてはいないことも、細胞の隅々まで、自信と希望に充ち溢れていることも、まるでそれが当たり前のように感じられる。まだ真新しい家の中を歩いてポーチに出るジム・ボブ。若き日のノーラが椅子に座って、まだ幼いジェイソンを抱いている。穏やかな顔で眠っているジェイソン。彼女の隣に置かれた椅子に腰をおろすジム・ボブ。無言。だが三人のあいだには確かに温かな感情が交わされている。それを感じる。やがて買ったばかりの車に乗ったラグがやってくる。
 やあ、ジム・ボブ、調子はどうだい? 
 ジム・ボブは答える。
 絶好調とは言わないが、わるくはないよ。
 姉貴のほうは、どうだい?
 私は元気よ。このちびちゃんもね。
 ああ。何はなくとも、我が甥っ子にだけは元気でいてもらわなくちゃな。
 座っているジム・ボブとノーラのあいだに立つラグ。
 三人はそれから家の前の美しい草原を風が走るのを見る。
 いつまでもいつまでも。