ストーリーメイク3月17日版

今回の条件:

主人公(過去):公式
主人公(現在):至誠
主人公(未来):秩序
結末・目的:幸運《逆》
援助者:治癒《逆》
敵対者:厳格
キーワード:【蘇生】


正田:「規制は金科玉条

○あらすじ
 サブカルなどに対する規制が次々と設けられて、つまらない文化だけが生まれ続ける世の中になりつつある時代。美浜君はそんな時代の政府の役人の一人なのだが、そんな規制だらけの社会に疑問を抱いていた。そんな彼も以前は、規制こそが社会を正す最良の方法だと信じていた。社会は画一的で文化に進歩もないところに気づいた彼は疑問を抱くに至った。
 しかし、疑問を抱いているなんてことが知れたら消されるくらい政府は統制を敷いていた。政府のやり方に間違いなどないのであり、疑念を抱くことは許されなかったからだ。そこで、彼は政府に従順な態度を取った。
 それでも、彼は行動に出ることにした。消されていったサブカルチャを復活させようと過去の製作者たちに近づこうとしたのだ。しかし、その行動は政府の知るところとなった。どこにでも政府に情報を売るやつがいるものだったのだ。おかげで行動することができなくなってしまった。唯一の救いは美浜が主犯だということは露呈しなかったことだ。役人として政府の中にい続けた。きっといつかまた反抗できる機会があることを願っているから政府に残ろうとした。
 少年少女が活躍するような物語は姿を消して、文化はうわべの愛を歌う曲が出回るだけのような状態だった。社会は規制の中で動き続けるのだった。


川口:「イングロリアス・ジェネラリスト」

 中東の途上国にすばらしい医師がいた。

 かつて医師が日本にいるころ、彼は親から載せられたレールの上をただ走るだけの人間であり、その延長線上にある医師の仕事に意義を見いだせず、ただ事務的に仕事をこなす毎日であった。しかし、ある事件を境に心を入れ替え、彼は海外での医療派遣に参加するようになり、派遣地域において誰もが賞賛するようなすばらしい総合医になっていた。しかし彼の努力の甲斐も虚しく、紛争は泥沼化し、危険レベルが高くなったため帰国命令が下る。彼の所属していた医師団は日本に帰国することになる。しかし彼はその地に残り、部族のコネクションを生かして少ない物資をやりくりしながら、医師としての闘いを続けた。

 三ヶ月が経っても紛争は終わる様子がなく、ついに米軍の介入を招いた。ひとり残り闘っている医師にCIAが近づいてきて囁いた。
「物資が足りないのだろう。いつまでも続けられるものではない。USAが支援しよう」
 医師はどうして軍ではなく彼らなのか疑問に思ったが、何かの片棒を担がせられることはどうにも明白だったが、彼らの条件を飲むしかなかった。彼らからの物資の輸送によって医師は医師の闘いを続けることができた。同時に沿岸の都市部から始まった紛争は山岳地帯にまで拡がり、一向に収束する気配を見せなかった。医師も戦線の拡大に応じるように宗派や部族の垣根を越えて治療が行えるよう尽力し、山岳地帯を幾度も転戦した。

 CIAの支援を受け始めてから半年が経ち、医師は別の集落へと移動し、前の集落に残してきた患者の様子を見に戻ると、その集落は山岳ゲリラの養成キャンプと化していた。医師への物資輸送に隠して運ばれていたのは自衛には多すぎる武器弾薬だった。医師は自分が助けた子どもが、人々がアメリカ製の銃器に身を固めている姿を見ることに衝撃を覚える。と同時に医師のあとを追跡してきた宗派を別とする武装集団が集落を襲撃した。CIAの戦闘インストラクターの指揮のもと山岳ゲリラと武装集団の苛烈な戦端が切って落とされ、銃撃を浴びて多くの人々が倒れいく。医師はただひとり救命措置を行っていくも、彼のいる小屋に迫撃砲が直撃し、爆散する。医師は瓦礫から這い出して、患者を見つけるもすでに蘇生を行えるような状態ではなかった。

 不意に医師の周囲から音が遠のいて、医師は記憶の中にいた。日本の大きな病院の地下にある霊安室だった。学閥と院内闘争によって医療ミスの責任を負わされ医師は日本を脱することになった。しかし医師が逃げていたのは、死んだ少女の、何も映していない瞳からだった。手を尽くしてもどうにもならないという事実の証明。

 医師の目の前に、それとまったく同じものがあった。そして医師は自失のうちに、死んだ。F/A-18ホーネットの航空支援によって投下されたナパーム弾が次々と炸裂し、医師は炎に包まれた。

 そして、医師の死亡によっていままで静観していた日本政府が国連に働きかけ、紛争調停が行われることになったのは彼の死から三ヶ月経ったあとのことだった。


浅羽:「パンク・オブ・ザ・デッド」

○登場人物
アーロン・アボット:元音楽教師。心臓病。
ウィルフレッド・ジンデル:元伝説的パンクロッカー。腰を痛めて引退。今では「ああ。何かそんなひといたね」状態。脳腫瘍。
ニール・マーソン:病院の委託探偵。大学を卒業したてのド新人。不器用で押しに弱い。
ジョセフィー・マコーレー:ウィルフレッドの娘。唯一の子供。今は主婦。高校生になる不良息子がひとりいる。
アナ・マコーレー:ウィルフレッドの元妻。10年前に死亡。ジョセフィーを産んですぐに、アメリカの金髪女にイカれたウィルフレッドに捨てられる。めちゃくちゃな苦労をしてジョセフィーを育てた。


○ストーリー
 イギリス。ホスピスに入院しているアーロン・アボット。老人。生真面目な元音楽教師。かつては名門高校で教鞭をとっていた。いまは迫りくる死を静かに受け入れようとしている。新しくホスピスにやってくる元伝説的パンク・ロッカー、ウィルフレッド・ジンデル。アーロンよりは年下だがもう立派な老人。アーロンとウィルフレッドは性格の違いから反発しあうが、やがて発作をおこしたアーロンをウィルフレッドが救ったことから仲良くなる。ある日、酒に酔ったウィルフレッドが、若い頃に別れてそれきりの娘ジョセフィーに会って謝るために脱走。ついでに同じく酔っ払っていたアーロンも脱走。しかしふたりとも金がない。そこで路上で演奏していた青年たちの楽器を借り、演奏をして金を稼ぎながら、娘を探すことに。追跡してきた病院の委託探偵のニールを仲間にしたり、アーロンの勤めていた学校を訪ねたり(ジョセフィーが通っていたらしい)、ロックフェスタに乱入して演奏したりして(最初はブーイング。最後は大喝采)、三人はとうとうジョセフィーのもとにたどり着く。その寸前に倒れたウィルフレッド。アーロンとニールの涙ながらの呼び掛けに、何とか目を開ける。アーロンとニールに支えられた状態で、ジョセフィーに一言謝罪をするアルフレッド、ずっと言いたかった言葉を吐き出し切ると、立ったまま、眠るように息を引き取る。ホスピスに連れ戻されたアーロンは再びの脱走の計画を練りながら眠りにつき、翌朝には死亡している。